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広島家庭裁判所 昭和43年(少)1202号 決定 1968年6月20日

少年 M・J(昭二九・二・一八生)

主文

少年を初等少年院に送致する。

理由

罪となるべき事実

少年は、

(1) 別紙窃盗一覧表(一)一ないし一九記載のとおり、昭和四三年二月○○日から同年五月○○日までの間同表記載の場所において同表被害者欄記載の者の所有または管理する被害品をそれぞれ窃取し、

(2) Aと共謀のうえ、昭和四三年四月○日午後八時頃、広島市○○町○○-○○スーパー○村方裏側駐車場において駐車中の○丸○二所有の自動車のドアーをあけ、金品を物色したが、窃取物品がなかつたため、その目的を遂げず、

(3) Aと共謀のうえ、同月△△日午後七時頃同市○○○町○-△△○○鉄工所自動車置場において○岡○博所有の自動車の中から物品を窃取しようとして、ドアーをあけ物色したが、窃取物品がなかつたためその目的を遂げなかつた

ものである。

適条

各窃盗-刑法第二三五条(共謀の分についてさらに同法第六〇条適用)

各窃盗未遂-同法第二四三条、第二三五条、第六〇条

要保護性

少年は、情緒不安定にして、自己顕示欲強く、即行的衝動的行動をとり易く、権威や規制に対していわれなき敵対心をもち、容易に攻撃的行動に出る。

しかも中学二年生の時から学校内での反則、怠学、喫煙をはじめ、義務教育課程の履修も覚束なく、窃盗行為も漸く性癖化の兆を見せ、保護者の監護能力に期待がおけず、在宅保護では、少年の健全な育成は到底期し難い。

よつて少年を初等少年院に送致するのを相当と認め、少年法第二四条第一項第三号、少年審判規則第三七条第一項、少年院法第二条第二項を適用して主文のとおり決定する。

余罪について

検察官は少年についてさらに別紙窃盗一覧表(二)の非行をも当裁判所に送致している。

しかしながら同表1ないし3の所為は、いずれも少年が一四歳に満たないで犯したもので、かかる事件は都道府県知事または児童相談所長から送致を受けたときに限り、審判に付することができるもの(少年法第三条第二項)と解するのが相当であり、本件においてそのような手続を経ていないことが記録上明らかであるから、該非行は審判の対象とすることができないものである。また同表4の所為は本件記録によつてもこれを認めるに足る証拠がない。

(裁判官 渡辺宏)

別紙 窃盗一覧表(一)-(編略)

別紙 窃盗一覧表(二)

番号

非行年月日

(昭和年月日)

非行場所

被害者

被害品

時価

(合計)円

共謀者

42・10・○

午前<後>8時 分頃

広島市○○町○-○○

○利食堂前路上の

自動車

所有者

○堀○明

男物腕時計

43・2・○

午前<後>6時 分頃

同市△△△町○丁目

△△中学校本館階段

管理者

同校長

○野○弘

ノンスリツプ

43.2.○

午<前>後10時20分頃

前同所および

同校体育館

同上

ノンスリツプ

止金 2

同上

43.4.○

午前<後>7時 分頃

同市△△町6-18○本アパート空地の自動車

所有者

要○内○子

所有者

要○内○子

自動車運転

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